|
|
タイ保健省は、深刻化するマッサージセラピストの人材不足に対応するため、新たに7,000人のセラピストを育成し、既存の施術者のスキル向上を図る取り組みを開始しました。このプロジェクトは、職業の地位向上や患者の治療効果の改善、さらに約2,000億バーツ規模とされるタイのヘルスケア経済の成長を目的としています。2024年12月23日の各報道が伝えています。
ソムサック・テープスティン保健相は記者会見で、タイ伝統マッサージの専門性を高めることで、サービス利用者の信頼を強化し、従来の医療を補完する治療法として普及を進める考えを示しました。今回の取り組みは、タイ伝統・代替医療局や保健サービス支援局、タイ伝統医療評議会との協力のもと進められており、セラピストが対応できる分野を拡大することが目指されています。
具体的には、筋肉や筋膜の痛み、肩の疾患、ばね指、股関節のインピンジメント、椎間板ヘルニア、麻痺、生殖器系疾患といった7つの慢性疾患に対応できるスキルをセラピストに提供し、患者の生活の質を向上させることが目標です。これにより、施術者の収入が増加するだけでなく、ヘルスケア経済全体の価値を高めることが期待されています。
さらに、現在約7万人のマッサージセラピストが不足しているとされており、その内訳はプロのマッサージ師が約5万人、プロのセラピストが約2万人です。業界は年間約2,000億バーツの経済規模を持ち、プロのマッサージによる収益が約465億バーツ、プロのセラピーによる収益が1,436億バーツと試算されています。
最低時給が150バーツのマッサージ師が1日6時間働いた場合、月収は約20,000バーツとなります。この不足を解消することで、年間120億バーツの追加収益が見込まれるほか、施設収益が2.5倍の300億バーツに達すると予想されています。また、ハーブ製品の需要も年間45億バーツ増加する見込みです。
一方、1利用者あたり800バーツの施術料金が設定されているプロのセラピストが1日10人を治療した場合、月収は約176,000バーツに達します。この不足が解消されることで、年間422.4億バーツの追加収益が見込まれ、施設収益が倍増し844.8億バーツに達するほか、ハーブ製品の需要も年間168.96億バーツに増加することが期待されています。
タイ保健省は、タイマッサージの専門分野をさらに広げ、多様なスキルを持つセラピストを育成することで、タイを世界的な健康拠点として確立することを目指しています。
関連記事