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タイでは、子どもや若者を含む約500万人がギャンブルに関与しており、社会全体に深刻な影響を与えていることが明らかになりました。11月下旬にバンコクで開催されたフォーラム「ギャンブルリスク社会:未来への賭け」では、専門家や学者がこの問題に警鐘を鳴らしました。2024年11月30日のThe Nation Thailandが伝えています。
このイベントは、タイ健康促進財団とチュラロンコン大学ギャンブル研究センターが共催し、ギャンブル問題に対する効果的な対策を議論する場として設けられたものです。最新の調査によりますと、15~18歳の子ども約106万人、19~25歳の若者約392万人がギャンブルに関与していることがわかりました。これらの数字は2021年から増加しており、問題は深刻化しています。
ギャンブルの影響は多岐にわたり、経済的困難や精神的健康の悪化、家族間の対立、社会的孤立などが報告されています。約600万人がギャンブル依存症を発症するリスクが高く、精神的支援が必要とされていますが、タイ国内ではこのような支援が依然として不足している状況です。
一方で、カジノを含む「エンターテインメント複合施設」の設立が議論されていますが、慎重な対応が求められています。学者たちは、こうした施設がギャンブル依存の拡大や資金洗浄の温床となる危険性を指摘しています。チュラロンコン大学のナチャポル・ジティラート助教授は、「カジノはしばしば資金洗浄施設として利用されます」と述べ、厳しい規制が必要であることを強調しました。また、規制が不十分であれば、国際的な金融監視機関であるFATF(金融活動作業部会)による「グレーリスト」入りの可能性があり、タイの国際貿易や投資にも悪影響を及ぼすと警告しました。
さらに、オンラインギャンブルの増加も問題視されています。タイ健康促進財団のポンテープ・ウォンワッチャラパイブーン理事は、24時間利用可能なオンラインプラットフォームがギャンブル行動を助長していると指摘しました。「ギャンブルを続けると自己制御能力を失い、依存症に陥るリスクがあります」と警告しています。
今回のフォーラムでは、合法的なギャンブルの拡大案に対する市民の反対意見も浮き彫りになりました。調査では、タイの回答者の半数以上が、ギャンブルの合法化がギャンブル問題の悪化を招くと懸念していることが分かっています。
■Nearly 5 million Thai children and youth are gamblers, study reveals
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