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台風11号「ヤギ」襲来から1カ月 東南アジアの130万の子どもに学習損失

2024年10月17日 配信

【2024年10月11日 バンコク発】超大型台風11号(ヤギ)が東南アジア地域の国々に甚大な被害をもたらしてから1カ月が経過。学校の損傷や閉鎖、自宅の浸水、家族の避難により、130万人近い子どもたちの学習に大きな支障が生じています。 ベトナム、ミャンマー、ラオス、タイの何千もの学校が被害を受け、子どもたちは安全な学習環境や栄養のある食事、重要な心理社会的支援を受けられなくなっています。



ユニセフ(国連児童基金)東アジア・太平洋地域事務所代表の功刀純子は、次のように述べています。「学校は子どもたちに必要な保護と安定を提供し、安全に学んだり遊んだりできるよりどころとしての役割を果たしています。学校を数週間でも休むと、子どもたちの教育、ウェルビーイング、将来の機会に影響が及び、不利益と不平等の悪循環を長期化させる恐れがあります。学校での学習をできるだけ早く再開させることは、安定を取り戻し、子どもたちが成長できる環境を確保するために不可欠です」

大型の台風11号「ヤギ」の上陸によって電信柱などがなぎ倒されるなどの甚大な被害があった翌日、家に帰宅しようと自転車で移動する子どもたち(ベトナム、2024 年 9 月 8 日撮影) © UNICEF_UNI639722_Pham Ha Duy Linh

ここ数十年間で最大規模の勢力をもった台風ヤギは、各地域に破壊の爪痕を残し、被害は現在も広がり続けています。 最も被害の大きかった地域で行われた最新の調査によると、降り続く大雨、洪水、地滑りにより、少なくとも150万人の子どもを含む530万人以上が影響を受けています。

多くの学校が損傷したり閉鎖されたりしたため、子どもたちは適切な学習環境とはいえない仮設スペースで勉強せざるを得なくなっています。また、タイ北部のいくつかの県をはじめ、学校に戻れるかどうかが不透明な子どもたちが各地にいます。このように学習機会の喪失が長引くと、知識の格差が生じ、学業成績が低下し、子どもが学習課程から後れを取ったり、中には落第してしまうリスクが高まります。多くの子どもにとって、この状況ではストレスが増大し、勉強に集中することがより難しくなります。

ベトナムでは、1,607の学校が被災し、学校閉鎖や教材・学用品の喪失により、96万人以上の子どもの学習に支障が生じています。ラオスでは、激しい洪水により90校が被害を受け、2万人以上の子どもを早期に学校に復帰させるため、スクールキット、教材、備品などの基本的な物品を必要としています。タイ北部では、555校が被害を受け、1万9,000人以上の児童・生徒に影響が及んでいる中、教師たちはオンライン学習に切り替え、生徒の自宅に学習教材を直接届けるなどの対応を行っています。ミャンマーでは、約30万人の子どもが洪水の直接的な影響を受けています。多くの学校が閉鎖あるいは損傷したり、一時的な避難所として使用されているため、現在も続く紛争に苦しんでいる子どもたちはさらなる困難に直面しています。

台風11号「ヤギ」がもたらした大雨により広範囲で洪水が発生している中、ボートで移動する人々(ラオス、2024 年 9 月 15 日撮影) © UNICEF_UNI643966_Phiennachit

台風11号「ヤギ」がもたらした大雨により広範囲で洪水が発生している中、ボートで移動する人々(ラオス、2024 年 9 月 15 日撮影) © UNICEF_UNI643966_Phiennachit

これを受けて、ユニセフは各国政府やパートナーと協力し、命を守る物資の提供、損傷した学校の修復、子どもたちの一刻も早い学びの再開に取り組んでいます。ラオスでは、1,600以上のスクールキットを就学前教育および初等教育の児童に配布するほか、1,000人以上の子どもが学習支援や心理社会的支援を受けられる「子どもにやさしい空間」を仮設で設置する計画が進められています。ミャンマーでは、洪水の被害を受けた子どもたちに、メンタルヘルスや心理社会面での支援と共に、授業や学習に用いる教材を提供しています。タイでは、「バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)」キットを3,350人の子どもに配布し、学習の継続を支援するとともに、こころのケアの応急処置を8,000人以上の子どもに提供します。一方、ベトナムでは、ユニセフが教育訓練省およびその地方局と協力し、2万3,000人以上の子どもに学習教材を提供しています。さらに、ユニセフはベトナム政府と協力し、保健員や教員、学校職員を訓練して、緊急事態への備えの強化と心理社会的ニーズへの対応に取り組んでいます。

ユニセフは、各国政府や現地パートナーとの協力の下、子どもたちにとって不可欠なサービスに災害リスク軽減および気候変動への適応活動を統合し、予測不可能な環境下での子どもたちの安全とウェルビーイングを守るための取り組みを続けています。この取り組みには、子どもたちの喫緊のニーズに対応するだけではなく、将来に向けた子どものレジリエンスを高めるプログラムの開発も含まれています。

東アジア・太平洋地域の子どもたちは、この50年間に同地域の異常気象現象が急増したことにより、環境災害に遭いやすくなっています。気候変動による異常気象の頻度と累積的影響が高まることで、教育、保健医療、水道システムなど子どもたちにとって不可欠な社会サービスが崩壊し、目の前の危険にさらされるだけでなく、子どもたちの健やかな発達とウェルビーイングが長期的に妨げられてしまいます。

台風11号「ヤギ」の被害を受けて浸水したラオカイ省の学校で、教材などユニセフの支援物資をトラックから運ぶスタッフ(ベトナム、2024年9月29日撮影) © UNICEF_UNI655072_Le Lijour


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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関で

す。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )

 

 

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