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果物の女王マンゴスチン~日本でも新鮮な味が楽しめることに!

2023年9月24日 配信

果物の女王マンゴスチン!日本でも新鮮な味が楽しめることに!

タイ王国はトロピカルフルーツ王国でもあります!
タイが大好きなタイランドハイパーリンクスユーザーの皆さんの、タイへの渡航理由はこのところ多様化を極め、タイ王国ファンの数がどんどん増えているように思います。
その中には、南国フルーツを食べあさるためにタイ旅行をするという人も、実は少なくないのです。
タイと言えばドリアンやマンゴーを思い浮かべる人も多いと思いますが、日本の輸入先が100%タイだという果物があるのをご存知?

タイ好きの皆さん、声を合わせてどうぞ。
そう、マンゴスチンです!

そんなマンゴスチンが2023年8月から、より新鮮な状態でタイから輸入できることになったというのです。

「え?どういうこと?」

その秘密を発表するというお知らせと、「試食もできますよ~」という在京タイ王国大使館のマンゴスチンの味並みに、やさしく甘~いお誘いを受けたタイランドハイパーリンクス。今回も目黒駅からスキップしながら向かうのでした。

 

マンゴスチン最初の輸入は焼き物?タイからやって来た宋胡録焼

今回の在京タイ王国大使館でのイベントは、タイの味そのもののマンゴスチンが日本で食べられるようになったということを知ってもらい、日本の皆さんにマンゴスチンの存在を多くの人に知ってもらいたいというイベント。

詳しいくわしいことは後述するとしてまずはイベントの数日前、タイランドハイパーリンクスで掲載させていただいたインタビューの記憶も新しい(新しすぎる…)、シントン・ラーピセートパン駐日タイ王国特命全権大使が、キレッキレの日本語で冒頭の挨拶をしてくださいました。
その中には大変興味深い、マンゴスチンと日本の歴史のお話も。

焼き物が好きな人なら説明しなくてもご存知のことでしょう。
日本では「宋胡録(スンコロク)」という名の焼き物が重宝されています。「宋胡録」は14世紀、スコータイ王朝で生まれた窯元で生まれました。古くは安土桃山時代に、アユタヤから輸入されて日本に到着。朝廷や大名、豪商などの元で重宝されてきました。

日本の焼き物には柿香炉と呼ばれるお香をたく香炉があるのですが、宋胡録焼にもあります。しかし、どうみてもそれは柿ではなく、マンゴスチンの形に見えませんか!?

農林水産省がない時代から、マンゴスチンは焼き物に姿を変え、日本に輸入されていたのです!

 

日本で食べられていたこれまでのマンゴスチンは不味かった

シントン大使の日本留学生時代については、前回のインタビューを読んでいただくとして、留学していた時代は、マンゴスチンは冷凍しないと日本には輸入できなかったのだそう。
タイ料理を食べに行き、デザートに出てきた冷凍マンゴスチンは「不味かった」というシントン大使。目をつぶって食べるともうそれは、マンゴスチンの味ではなかったそうです。

時は流れ、2003年、加熱処理(詳細は後述)をすることで、日本に輸入が可能となったマンゴスチンですが、皮の厚さはそれぞれ異なります。皮が薄いマンゴスチンは、処理中に中の果肉が焦げてしまったり、焦げなくてもなんだか焦げ臭い、と感じることがあり、果物の女王として華々しく輸入されたにもかかわらず、イマイチ日本では盛り上がりを見せなかったのだとか。
かっ、かわいそうな女王様。

 

なぜマンゴスチンは果物の女王なのか?

ところでなぜマンゴスチンは「果物の女王」と呼ばれているのでしょう。諸説あり、大英帝国のヴィクトリア女王が「こんなに美味しいものは食べたことがない」と言って好んで食べた、という説もあります。
しかし、ころんと丸い愛らしい姿に、赤紫色のドレスをまとい、ティアラを冠したような風貌は、やはり女王様。そして果肉は真っ白で、ふんわりとしたお菓子のような食感と甘味、後味にやってくる果肉感と酸味は、女王様…と呟かずにはいられない唯一無二の果物なのかもしれません。

 

2023年夏、女王、日本で生まれ変わる!

しかし、そんな果物の女王、マンゴスチンの不遇の時代は、ついに2023年夏、終わりを迎えたのです。

女王はこれまで、日本政府の厳しい掟により、害虫駆除のため「蒸熱処理」と呼ばれる蒸気による熱処理をしなければ、日本に輸入することはできず、大使が挨拶で語ってくれたように「焦げ臭い女王」として店先に並ぶ羽目になっていました。
本来のマンゴスチン女王は、そんな匂いがするはずがないのに…。

「蒸熱処理」される果物の女王様

タイのBLドラマはあんなに盛り上がったのに、イマイチ日本で盛り上がらないマンゴスチン女王。もちろん、タイ農業協同組合省も負けていません。
ミカンコミバエ種群は傷のあるマンゴスチン生果実にしか寄生しないことが判明し、2019年から「蒸熱処理」をせず、新鮮な果肉をそのまま日本の皆さんに楽しんでいただこうと、日本の農林水産省と話し合いを重ねてきました。
そしてやっと2023年8月、それが実ったのです!

 

蒸熱処理をしないとこんな利点も!

「蒸熱処理」をせず、日本に輸入されるという事でタイと同じ味を日本で楽しめることはなんとなくわかったものの、問題はマンゴスチンの日本価格。
時は円安。バーツはとっても高いので、女王様の値段も大変お高いのです。
しかし「蒸熱処理」をしない場合、その分の手間が大幅に省けるという事と、これまで航空便のみだったマンゴスチンの輸入を船便にすることも可能となることで、プライスダウンを狙っているのだそう!

タイの農業協同組合省ほかのデータによると、2022年のマンゴスチンの輸出量は20万5,804t。その中から日本への輸出はわずか82.4tで、マンゴスチンがいかに日本で食べられていないのかがよく分かる結果となっています。

ワナセッティー農務参事官は「今回の新措置で今後2年以内に年間1,000tまで増やすのが目標」と言い、さらに「皆さんの力次第で、もっと早く年間1,000t目指せるかも?」と、柔らかな物腰の中に、さりげない圧を込める(笑)さすがのプレゼンテーションを見せてくださいました。
「だって、果物の女王様のためだもの。」
そんなアツい心の声が聞こえるよう。ちなみに、ワナセッティー農務参事官も日本語がとーってもお上手。プレゼンをすべて日本語でこなしていましたよ!

これまで、マンゴスチン様の日本価格は、ちょっとお高いデパ地下の果物売り場で1個400円~500円、良心的なお店で3個1000円、なおタイ王国大使館の方のお話によると「コストコなら1個200円以内の単価で買えますよ」とのことなので、マンゴスチンのためだけにコストコ会員になろうと思ったものの、近くにコストコがないことに気づき、肩を落とした次第です。

年間1000tの野望が叶った暁には、もっと気軽に日本で楽しめるんだろうなあ、と思いつつ「お待ちかねの試食ですよぉ!」の声に「今はココで思いを遂げねば!」と女王たちが積み上げられた山に向かうのでありました。

 

久々にマンゴスチン女王様を本気食い!

この日、在京タイ王国大使館に山積みされたマンゴスチン女王は、もちろん「蒸熱処理」ナシ!丁寧に何個も切っていただけるので、試食する筆者たちは、ただフォークで真っ白でふんわりとした果肉を取り出していただくのみ。
皆さん、果肉を頬張りとっても幸せそう。

取材に来ていた記者の方は「俺の友達はバケツ一杯マンゴスチンを食べる」と笑顔。J‐Waveの「JAM THE PLANET」にも出演するギフトさんこと石川ルジラットさんは「5キロ買って一度に2キロ食べます」と話しているし、タイ好きやタイ人にとって、マンゴスチンはもう「何個食べた」の世界ではなく、何キロ食べた、の世界。それほど一度食べた人の心を奪ってしまう魅惑の女王様なのです。

もちろん筆者もタイでマンゴスチンを見つけたら必ず大量購入してホテルで貪ります。

ちなみにタイ旅行に行った際、トランクに果物を入れて日本に持ち込もうとする人がいます。日本では果物の持ち込みは禁止されているため、帰国の際にマンゴスチンを持ち込むことはご法度です。
過去に6人の友人、知人が空港で、かわいいビーグル犬(探知犬)たちに次々と発見され、パスポートコピーを取られるという不名誉なブラックリスト入りを果たしています。
でもこれからは、これまでより少し安価に(タイ王国様、期待していますよ!)タイと同じ味を日本で楽しめる機会が増えるということで、マンゴスチンが恋しくてもタイに行けない場合は、日本で同じ味が楽しめることを思い出してくださいね。

左からパンジャマーノンタイ国大使館商務公使、シントン・ラーピセートパン タイ王国特命全権大使、タナソーン・ピーケイサイアム〈タイ果物輸入社〉責任者、ワナセッティー農務参事官

「マンゴスチンはやっぱり生じゃないとダメなんです。食べた食感もやっぱり違うんですよ」とシントン大使

口に含んだ瞬間、消えてなくなるふんわりはかない口どけと、その下にしっかりとある果実感と酸味。やっぱりこれこそがマンゴスチンだよなあ…と感動。
タイからやってくる果物の女王が、日本でますます魅力度アップ!
これなら、タイが恋しくて恋しくて行きたいのに、行けない時期は、日本でマンゴスチンを食べることで心が満たされそうです。
というわけで、ここぞとばかりに試食ではなく本気食いで10個以上食べたことは秘密です。あっ!言っちゃった。

よく見たら在京タイ王国大使館のイベントホールのカーペットも、マンゴスチンモチーフだった!

 

【取材・文:吉田彩緒莉(Saori Yoshida/Interview・text)】

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