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「タイフェスティバル東京2023」出演アーティストインタビューの、タイランドハイパーリンクスでのオオトリは、やっぱりこの方!
正にタイフェスティバルの顔とも言える、コー・ミスターサックスマン(KOH Mr.Saxman)!
タイのジャズ界をけん引するSAX奏者であり、シンガーでもあるコーさんは、数十年キャリアの日本の大ファンでもあります。
コーさんの出演しないタイフェスなんて、タイフェスではない、と思わせてしまう、圧巻のパフォーマンスが、この代々木公園に帰って来ました。
タイランドハイパーリンクスではタイフェスティバルの度に毎年インタビューさせていただいているコーさん。タイフェスティバルがオンラインのみでしか開催されない寂しさと同様、インタビューできない時間は、寂しいものでもありました。
コロナ禍の3年間は、タイのアーティストにとって命でもあるライブができない状況が続きましたが、そんな辛い日々を乗り越えたコーさんが達観した今後のビジョンとは?そしてタイフェスティバル東京に賭けるコーさんの思いとは?
―― コーさん!4年ぶりにお会いできてうれしいです。今回もよろしくお願いします!
コー:はーい!(日本語)
―― コーさんと言えばサウンド・オブ・サイアムでの出演を入れると、毎年出演するタイフェスティバル東京の「顔」です。4年ぶりに通常開催されたタイフェスティバルの出演を終えての感想はいかがですか?
コー:僕はこの日を4年間ずっ~と待ち詫びていました。
―― そうですよね(涙)。毎回コーさんのステージはとても盛り上がるので楽しみにしている方も多いですよね。
コー:タイフェスティバルでの公演については、日本にいる沢山の友達も待ってくれていたんです。だから絶対にタイフェスティバルで演奏したい!そう思い続けた4年間でした。
―― 確かに来日してコンサートをすることと、タイフェスティバルに出演することは、意味合いが違いますもんね。
コー:そうそう。タイフェスティバルは日・タイの交流を祝う大イベントですし、タイの音楽、タイの文化、タイの食文化を日本に受け入れてもらうためのものじゃないですか。
僕は全てのタイと日本の交流が前向きに進んでほしい。だからこそ、タイフェスティバルでの演奏は重要なんです。
皆さんも4年間、コロナ禍で開催されないタイフェスティバルを待っていたと思いますが、僕自身ずっとこの日のステージを4年間待ち続けていました。
―― ここ数年のコーさんのタイフェスティバルでのステージは、サウンド・オブ・サイアム(各方面の有名奏者やシンガーが、タイの民族楽器を混ぜたパフォーマンスを見せてくれるユニット)での出演でしたが、今回のコンセプトは?
コー:今回はミニマルなスタイルでのステージですね。
―― 先ほど演奏を見ましたが、凄くクールでした。
コー:ありがとー!今回はDJが入った割と近代的なコンセプトだったんですよ。DJは日本人です。
―― DJはタイでデビューしたMAFのマーさんですよね?どこで知り合ったんですか?
コー:タイで知り合ったんだけど、マーさんが曲を作った時に一度フューチャリングって形で参加したことがあったんですよ。一緒に「J-Asean Pops 2003」って言う横浜のイベントにも出演しているんですよね。もう20年以上付き合いのある友達です。
―― ライブの多いタイのミュージシャンにとっては、コロナ禍の3年間は大変な時期でしたよね?
コー:そうそう。特に第一波の時には、本当にどう対応して良いのか、かわりませんでしたよ。
――毎日どんなことをして過ごしていたんですか?
コー:ひたすら毎日曲作りをしていました。オンラインで日本のアーティストと交流してお互い励まし合ったりね。離れていても心は繋がっています。
もちろんステージに立つことはできませんでしたが、だんだんとその環境に慣れてきた時、オンラインでライブ配信したり、逆に気楽に海外のアーティストと共演できることに気付きました。
それからはよくオンラインでコラボレーションしたりしていましたよ。
――コーさんから見て、コロナ禍を経て、タイが変わったなあとか、タイ人が変わったなあ、と思った所はありますか?
コー:うーん。人によって色々なパターンがありますね。
タイはロックダウンがあったので、家にいることしかできない日もありました。これまでにない「何もしない時間」が増えたんじゃないかな。
その時期はその時間を使ってどうやってハッピーに幸せに暮らすかを、みんなが考えていたと思います。
僕自身も時間をどう有効に使うか、と言うことを常に考えるようになりましたね。
―― 確かにタイも含めて、人々が何もしない時間について考える、ということは、これまでにない体験だったでしょうね。
コー:ハイ…。タイは新型コロナウイルス感染症で多くの方が亡くなりました。そんなニュースを見て、これは僕の場合ですけど、何もしない時間を「人のために使いたい」と考えるようになりました。
例えば自分のコンサートでも、できるだけシンプルに。できるだけチケット代を安く抑えたコンサートがしたいです。
―― えー?チケット代安いの助かる!コーさん、何でそんなに優しいんですか!?
コー:タイのコンサートは今、とてもチケット代が高いんです。景気も良くありません。僕はコンサートのチケットが高いから、コンサートに行かない、というのではなく、多くの人に見てもらいたいんです。子どもたちにも見てほしいですし…。
―― そもそもコーさんのライブは、バンコクのサキソフォン・パブに行くと、ドリンク代だけで楽しめるので、それだけでもありがたいんですけどね。
コー:はい。今も毎週月曜日の深夜にやっています。
―― あー…。実はこのインタビューの4日前までタイに行っていまして。
コー:え?そうだったの(笑)?
―― 以前、サキソフォンパブのコーさんのライブを見に行ったんですけど、素晴らしかったです。間近で見る迫力はタイフェスティバルや観光庁のステージとはまた別の物ですよね。
でも今回、サキソフォン・パブでライブをやっているかどうか、よくわからなかったので、行かなかったんですよ~。
サキソフォン・パブは観光客でも行きやすいし、コーさんの演奏を間近で見たら感動しますよね。
コー:サキソフォン・パブは日本人もたくさん見に来てくれています。今度バンコクに来た時は、また見に来てね!
注:※コーさんの海外公演が月曜日に当たった場合、公演がない場合あり。お店のFacebook(更新遅れがち)やコーさんのFacebookを確認して出かけましょう
―― 来日公演はコロナ以降はタイフェスティバルが初めてですかね?
コー:タイ国政府観光庁がタイの入国制限撤廃以降、大々的なイベントをやってるんです。日本でも5か月前に大きめのイベントをやったんですよね。その時に久しぶりに日本に来ましたよ。
―― タイの制限が終了した後は、日本以外でも海外公演を積極的に行っていましたね。どこに行ったんでしたっけ?
コー:おー、沢山行きましたよ。中国、台湾、シンガポール、インド、韓国、えーっと、他にどこ行ったっけ(笑)。沢山の国をまわって、タイへの観光誘致のためのコンサートをしてきました。
―― 印象に残った国はありましたか?
コー:うーん、どの国もみんな好きだけど、やっぱり日本だよー!日本が一番!
―― いつもそう言ってくださって嬉しいんですけど、他の国でも言ってませんよね~(笑)。
コー:言ってない、言ってない(爆笑)。
―― わかっています(笑)。
コー:コーさん(コーさんは自分のことをコーさんと呼びます)は、1992年に初めて日本に来て、東南アジアをまわって、日本でレコーディングをして、日本に完全にはまってしまったんだから!
―― 今回日本に来て最初に何を食べましたか?
コー:(爆笑)…。コーさんは日本に来る前に、2週間タイで「寿司断ち」していました(笑)!
―― え? …(爆笑)。
コー:昨日、日本に到着して夜ごはんに寿司!今日の朝も寿司!もう、めちゃくちゃ美味しい~!
――(爆笑)。
コー:あとね、チョコレートと、チョコレートミルクと、ドン・キホーテと…。
―― タイにもドン・キホーテはあるじゃないですか!
コー:うん。コーさんはMBKのドン・キホーテによく行っているよ。ドンキ大好き!
コー:今、タイにはたくさん日本人観光客が来てくれていますね!僕の友達にテイジン(帝人株式会社)の社長がいるんだけど、僕がドライバーになって観光ガイドしたよ。
――どういう図なんですかね…(爆笑)。すみません、想像したらちょっと笑えるんですけど…。
そんなコーさんがおすすめする、日本人観光客に行ってほしいタイの場所や都市、スポットはありますか?
コー:タイは沢山見た方が良い場所もあるし、バンコク以外にもいい場所がたくさんあるよ。チェンマイ、プーケット、パタヤ…。うーん(まだ悩んでいる)。
――凄く悩んでいますね。
コー:僕は海が大好きなんです。まだ日本の人が知らないキレイな海がたくさんあるんですよね。
――例えばどこでしょう?
コー:例えば、サタヒップ。パタヤの先ね。それからラヨーン、サメット島。全部バンコクから近いのに、とても海がきれいなんですよ。
それからシーチャン島。シーチャン島への船着き場は、スワンナプーム空港から車で1時間くらいで港につきます。
――コーさんもタイのきれいな海にはよく行くんですか?
コー:あまり行かないけど、シーチャン島の大好きな写真があるんです。
バンコクから1時間で海がこんなにきれいだなんて!これを日本人に知ってほしいです。ぜひ行ってもらいたいんです。
――コーさんといえば、タイフェスの顔なんですが、「タイフェスティバル東京2023」に集まってくださった皆さんに、メッセージをお願いします。
コー:そういえば、日本から僕の曲を沢山の人が聴きに来てくれます。時々冗談で「僕は山形県出身です」って言うんです。
それくらい、サキソフォンパブに山形県からたくさん友達が見に来てくれるんですよ。
あっ、山形県、行ったことある?
――鶴岡に友達がいるので行ったことがあります。
通訳:僕も友達がいます。酒田です
――同じ庄内(笑)。ここにいるみんなに山形県の友達がいますね(笑)。日本中にコーさんの音楽を聴きにタイに行く人がいてうれしいですね。
コー:はい。本当にうれしいです。
みなさん、本当にありがとうございました。
タイフェスティバルに来てくれた日本の皆さんに心からお礼を言いたいです。
タイの音楽やタイの文化、タイ料理を好きになってくれてありがとう。
僕はそのお礼に、曲をたくさん作って皆さんに幸せを分けたいです。
取材を終えて
タイランドハイパーリンクスのタイフェスティバル東京でのインタビューの回数が一番多いコーさん。
お会いするとホッとするお人柄に今回も癒されました。そのほっこりする人間性と、ステージでの迫力あるパフォーマンスのギャップも魅力です。
何よりも「4年間、タイフェスティバル東京の開催を待ちわびていた」という言葉の重みは、タイのミュージシャンにとって、このステージに出ることに大きな意義があることを再認識させられました。
JAZZとタイ民族楽器の融合が斬新なサウンド・オブ・サイアムは、タイらしい煌びやかな雰囲気が溢れていますが、今回のステージはサックスがメインのコー・ミスターサックスマンの真骨頂!
タイフェスティバルの本来のテーマでもある、日・タイ交流を思い起こす日本人DJや、日本人サックス奏者とのコラボレーションもあり、2023年も堪能させていただきました!
[取材・文:吉田彩緒莉(Saori Yoshida/Interview・text)]
[通訳:Boy In Tokyo]
Koh Mr.Saxman
1973年9月13日生まれ
https://twitter.com/kohmrsaxman
https://www.facebook.com/kohmrSaxmanfp/
https://www.instagram.com/kohmrsaxman/
https://www.youtube.com/@kohmrsaxman
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