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コロナ禍を経て4年ぶりに開催された「タイフェスティバル東京2023」。
日本の代表的なタイ料理屋さんが集結するだけではなく、毎年タイのトップクラスのアーティストが集うことでも知られています。
この4年間、日本も様々なことが変わったようにタイも変わりました。それはエンターテイメントの世界も同様。
例えばコロナ禍にデビューしたことで、独自の売れ方をしたベル・ワリッサラ―もそのひとり。
ベル・ワリッサラ―のデビュー曲『アオパッカーマーウォン(เอาปากกามาวง)』は2021年から2022年にかけてタイで最も売れた曲の一つ。
タイでも自宅待機など厳しい制限があった時期、TikTokやYouTubeなど動画系SNSでその可愛らしいダンスとビジュアル、伸びやかな歌声が拡散され、大ヒット。
コロナ禍のタイのエンターテイメントは、日本同様コンサートができないなど大きな打撃を受けましたが、ベルはそのコロナ禍をも味方につけた強運の持ち主と言えるでしょう。
また、彼女の所属するレーベル「ホームラン・ミュージック」はオルタナティブロックバンド PlaygroundのフロントマンであるTik氏が設立したレーベル。
デビューしたアーティストがいきなり「ホームラン」とも言える快挙を成し遂げたのは偶然なのか、彼の才能なのか?
インタビューの中にも、この曲の大ヒットの秘密が見え隠れしています。
会話や表現方法を通して、もう「かわいい」としか言えなくなってしまった取材陣。その親しみやすいキャラクターと愛くるしさにも注目です!
ー 実はこのインタビューの4日前までタイにいたんですけど、ベルさんの『アオパッカーマーウォン』がコンビニやレストランでずっとかかっていて「わあ、私は数日後にベルさんにインタビューするんだよなあ」って思っていました(笑)。
今回はお会いできてうれしいです。
ベル:わー!ありがとうございます!私もとってもうれしいです!
ー 今回はベルさんと同じ「ホームラン・ミュージック」のアーティスト3人で、大阪のタイフェスティバルにも出演したんですね?
大阪の方はどうでしたか?
ベル:大阪は雨が降っていたんですよ〜。それなのにファンの皆さんが一生懸命応援してくれて嬉しかったです。
ー 日本のファンの方もいましたか?
ベル:はい。会場は小さかったですけど、たくさん来てくれましたよ。日本のファンと、タイのファンが半分ずつでしたね。
ー それはすごいですね!去年のオンラインタイフェスティバルで知って下さったのかもしれないですね。
ベル:そうですね!大阪も、東京も共通して感じたのは、日本のファンの方はとってもかわいいっていうことです。
ー先ほどのステージでは日本のファンも一緒に踊っていましたね。
ベル:そうですねー。うふふ(笑)。
ー 大阪のタイフェスティバルと比較すると、東京の代々木公演のステージはかなり大きな会場でしたけど、ステージを終えての感想はありますか?
ベル:ステージ前はとても不安でドキドキしていました。
ー えっ?そうだったんですか?
ベル:はい。こんなに大きなステージで、歌って踊れるのかなぁって思っていましたよ。
でも日本のファンの方がみんなフレンドリーで「いっしょに歌って」「一緒に踊って」ってステージから呼びかけると、素直に歌って踊ってくれました。
中には歌えない人もいたけど一生懸命歌おうとしてくれて、嬉しくて嬉しくて、最初の不安は消えましたね。
ー 良かったー。
それと、大阪は同じレーベルの3人でステージに立ったんですよね?やっぱり一人で不安っていうのもあったんじゃないですか?
ベル:そうそう!だって3人だったら、誰かが間違っても気付かれないじゃないですか(爆笑)。
ー なるほど…(爆笑)
ベル:一人で間違ったら全部自分の責任ですよ。緊張します(笑)!
ー タイでステージに立つ時と、やっぱり違いますか?
ベル:タイと日本、それぞれ良い所があります。
タイのステージではファンとのコミュニケーションがすぐに取れるけれど、日本はコミュニケーションは100%取れる訳じゃないですよね?
それなのに日本では、みんな真剣に集中して私の話していることを聞いてくれて、一緒に歌ってくれました。
ー びっくりしたんですけど『アオパッカーマーウォン』はデビュー曲なんですね?こんなに売れると思いました?
ベル:私もびっくりですよ!ここまでヒットするなんて、思ってもみなかったです。
ー いきなり売れると、プレッシャーを感じる人もいると思いますけど、ベルさんはどうでした?
ベル:私の場合は、自分の好きなことをして、見てもらっている立場なので、驚きはしてもプレッシャーみたいなものは全く感じませんでした。
むしろ、タイのファンのサポートだったり、日本のファンのサポートだったり、嬉しいと感じることの方が多かったですね。
ー デビューは丁度コロナ禍。普通だったらがっかりしちゃうというか、ライブやキャンペーンのチャンスを失う人も多かったですよね。そう思うとベルさんは凄くラッキーですね。
ベル:そうなんですよ!
ー 振付が話題になって、SNSで拡散されたわけですが、コロナ禍の暗い時代にSNSやYOUTUBEを見る機会が増えて、ベルさんのこの明るく、かわいいダンスが注目されたことがヒットの要因になったのではと推測しているんですが、ベルさんはどう思いますか?
ベル:TikTokですよね。私もそう思います。丁度コロナ禍で、みんなSNSを見る時間がたくさんあったんだと思います。その中から私の歌やダンスを選んで応援してくれたことが本当にありがたいです。
ー コロナの制限が終わった後、やっとファンの皆さんの前で歌えた時は感動したでしょうね。
ベル:はい!オンライン上で、皆さんが応援してくれたおかげで有名になれた後に、その応援してくれた人たちの前で『アオパッカーマーウォン』を生で歌えたことは、本当にうれしく思いました。
ー『アオパッカーマーウォン』ってタイトル(「〇をつけるペンを持ってきて」)や歌詞が凄くユニークなんですけれど、ベルさんが作った歌詞なんですか?
ベル:あの歌詞はP’Tik(Tik Playground)が作りました。
ー さすが!実は私、PlaygroundのCD持ってて、十数年前にライブに行ったことあるんですよ。やっぱりセンスが違いますねえ!
ベル:私のお父さんのような存在です。
ー もしベルさんが、この歌詞の主人公だったら、好きな人のどこに〇をつけてあげたいですか?やっぱり選べないから全部に大きく〇をつけますか?
ベル:うーん…目に丸をつけちゃいます。
ー お?目フェチですか?
ベル:目はウソをつけません。
ー 浅くてごめんなさい…深かった(笑)。
え?でも、外見とかファッションは関係なく?どうしてもこの人のファッションが好きになれないとか、そういうことがあっても?
ベル:(笑)…。私のタイプは見た目ではないんですよ。とにかく目です!
ー じゃあファンの皆さんは目をキラキラさせておかないといけないですね。
ベル:うわあ目がきらきらしてたら「カワイイ(日本語)」だろうなー(笑)。
ー ベルさん自身は作詞作曲の経験はあるんですか?
ベル:コンテスト用の曲を作った経験がありますね。
ー ということは、そのうちベルさん自身の作詞作曲の作品も聴けるかもしれませんね!
ベル:作詞や作曲はしてみたいです!
ー 日本に好きなミュージシャンはいますか?
ベル:藤井風さんです。
ー 藤井風さん、タイで大人気ですね。タイフェスティバルでインタビューした方にもファンは沢山の方がいましたけど、タイ人の友達何人かも、藤井風さんのファンなんです。
ベル:今度タイで藤井風さんのコンサートがあるんですよ。それで話題にもなっていますね。妹はチケットが取れたのに、私は取れなかったんです!
藤井風、タイ・バンコク公演「Fujii Kaze and the Piano Asia Tour in Bangkok」は7月1日・2日開催
ー えーっ!姉は人気歌手なのになぜ取れなかったのだ(笑)?日本ではありえない(笑)。
ベル:(笑)…。でも日本に藤井風さんのライブを見に来ますよ。
ー それは良かった。
ー ベルさんは日本に来たのは何回目ですか?
ベル:日本には3回来ています。今回で3回目なんですけど、実は東京はこのタイフェスティバルが初めてです。
ー 日本のどこが好きですか?
ベル:富士山です。今回行ってきました!…それから日本人の動きが活発な所が好き。
ー あれ?タイも…特にバンコクは人の動きが活発じゃないですか(笑)?
ベル:タイは人が動いているとわあわあ騒がしいけど、日本はきちんと秩序が守られていてカワイイ―。
ー カワイイ…かな(笑)?そうかな(笑)…。ぶつかると凄い怖い人もいるけどな…。
ベル:タイよりは混雑しているのに、静かです(笑)。平和です。
ー 今回は大阪のタイフェスと、東京のタイフェスもあって少し長めに日本に滞在しているのではないですか?どれくらい日本にいますか?
ベル:今日は8日目で、明日帰ります。
ー え?明日帰っちゃうんですか?遊びには行けないですねえ。どこか行けましたか?
ベル:富士山と、大阪から京都が近かったので、京都に行きました。
東京では赤坂の公園を散歩したりしてます。今度は絶対にプライベートで友達と来て、行きたい場所を全部まわります!
ー プライベートで日本に来たら、どこに行きたいですか?
ベル:やっぱり大阪かな?道頓堀でご飯食べた後に、川沿いを歩きたいです。
ー 道頓堀は看板凄いですよね。
ベル:グリコ!(グリコの看板の物まね)
ー かっ…かわいい…。(取材陣悶絶)
ー ベルさんの今日の衣装、めちゃくちゃかわいいんですけど。
ベル:わあー、ありがとうございます♪。
ー プライベートでもこの衣装みたいに、かわいいファッションが好きですか?
ベル:えーっと…(笑)。
いつもはこんなにかわいいファッションはしません(笑)。
どちらかというとミニマル。そうそう。無印良品的なファッションが好きですね。ただ、私は二面性があるので時々、無性にかわいいファッションをしたくなることがあります(笑
)。
ー日本から旅行でタイに行く人も多いと思うんですが、バンコクでかわいい服や小物が買えるおすすめの場所があれば教えてください。
ベル:私、ショッピングは全部オンラインなんですよ(爆笑)。でも、外出して買いに行く時にはサイアムですかね。
実は私、ほとんど部屋にいるインドア派なんです。外で歌うお仕事なので、昼は部屋でゆっくりしていたい。
それとまだ大学生なので、勉強しないといけなくて…。
ー そうだったんですね。仕事と勉強を両立させるのは大変そう!
ベル:とても難しいですね。勉強嫌いなんですけど…(笑)。
ー …(笑)。
ベル:でも、大学に行って友達に会えることがとても楽しみなんですよねー。歌っている時はとってもハッピーだし、うまくワークライフバランスは取りたいですね。
ー 忙しい日常ですけど息抜きはできていますか?
ベル:そうですね。休みの時は自然の多いところに行きます。ルンピニー公園が多いかな?
ー 大学のクラスメイトやお友達にはどんなお土産を買って帰りますか?
ベル:巨峰ピューレのゼリー!タイでは売っていないので、みんなに「買ってきて~!」って頼まれています。
ー そんなに人気があるんですか?私も次にタイに行く時は友達に買っていきますね。
ベル:タイ人の友達?それは絶対に喜ばれると思います!タイが好きなんですね。
ー はい。これをカオサン通りで買いました(ネックレスを見せる)。値切って買ったから安かったー。
ベル:カオサン?カオサン(クラブで踊る仕草)?
ー踊ってはいませんが(笑)大きなクラブがありますね…(笑)。
ベル:私、上野のMUMPAK BARに行きましたよ(湯島や御徒町にも近いタイの曲のライブが楽しめるパブ)。
ーえー!?私も行きました!
(MUMPAKの話で盛り上がる…)
ー最後に日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。
ベル:日本のファンの皆さん!サポートしてくれて、ありがとうございます。
私はまだ日本で知名度はありませんが、たくさん曲を作って、そのうち日本語の曲も作りたいです。
日本語の曲を日本人も一緒に歌えたら素敵だなって思いますね。
私の大好きな曲を、一緒に歌ってほしいんです。よろしくおねがいします!
ーありがとうございました!
取材を終えて
ナチュラルな可愛さが、バンコクの今の等身大の大学生という雰囲気を感じさせてくれるベルさん。
発言や仕草がとにかくかわいい!それにインタビューの間も、常に楽しませてくれようとする心遣いに、ほのぼのとした気持ちにさせられてしまいました。
また『アオパッカーマーウォン』は「好きな人に〇をつけてほめてあげたい」という、恋をしたことがある人なら誰でも「わかる~」とつぶやいてしまうキュートな歌詞と、ポップで、一緒に踊りたくなる曲調が魅力。
まるでベル・ワリッサラ―という人物そのものを表現しているようなかわいらしさがあります。今後リリースされていく曲にも期待してしまいますね!
何よりこの歌詞は、コロナ禍の自宅待機中になかなか会えない大好きな人を思って、切なくなっていた人たちの救いになっていたのではないでしょうか?
筆者もタイに行けない間にこの曲を聴きましたが、タイのどこが好き、という1ヶ所1ヶ所の小さな丸ではなく、タイという国に大きく〇をつけたい気分になったことを、告白しておきます。
デビュー前から歌い続けていた彼女の才能を、やはり才能のある仕掛け人が花開かせたことで、これまでタイにいなかったタイプのアーティストが生まれたことに感心してしまいました。
[取材・文:吉田彩緒莉(Saori Yoshida/Interview・text)]
[通訳:Boy In Tokyo]
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ベル=ワリッサラー ジットプリ―ダーサクン
เบล-วริศรา จิตปรีดาสกุล Bell-Warisara Jitpreedasakul
2001年12月26日 バンコク生まれ
https://www.facebook.com/bellbeawww/
https://www.instagram.com/bellbeawww/
https://twitter.com/bellbaewww
https://www.youtube.com/channel/UCM1pNVcv4A3T8K228w-Kvig
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