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「梨田和也駐タイ日本国特命全権大使が新型コロナに感染!」。
後に梨田大使は、クラスターが発生したバンコク・トンローのナイトクラブ「クリスタルクラブ」を訪れていたことが明らかになりましたが、当初在タイ日本国大使館は、梨田大使の行動履歴を公開していなかったこともあり、いろいろな憶測を呼びました。そして2つの誤報が広がったことで、深刻な風評被害が発生しています。
本サイトでは、梨田大使の新型コロナ感染に関する誤報について日本大使館に取材を行い、誤報によって深刻な風評被害が発生していることを知りました。
まずはスシローのケース。3月31日、バンコク・セントラルワールドでスシロー1号店のオープニング式典が華々しく行われました。この式典に梨田大使は出席しておらず、大使館のナンバーツーに当たる次席公使が出席していたにも関わらず、4月1日にタイラット紙は「オープニング式典に出席したのは梨田和也大使」と報じたのです。
その後4月3日に日本の外務省が梨田大使が新型コロナウイルスに感染したと発表。するとネット上では「梨田大使が訪問したスシローは危険!」と大炎上。完全な誤報であるにも関わらず、スシローは店内消毒を余儀なくされました。
タイラット紙は日本大使館の抗議を受けて記事を削除しましたが、「梨田大使が出席していた!」と誤解が解けていない人も少なくなく、スシローのタイでの店舗展開の出発点となる第一号店オープン直後の非常に重要な時期に、スシローは問い合わせへの対応に追われることとなってしまいました。
(参照 スシロー・オープニング式典に大使館次席が出席|在タイ日本国大使館)
もう一つは日本大使館員が、クリスタルクラブを訪問して8人が感染したとする報道。Thai PBS Worldは、アヌティン副首相兼保健大臣の発言を引用して、「日本大使館職員10人がクリスタルクラブを訪問し、8人が感染した。」と報じました。本サイトもこの報道を引用して同様の記事を掲載しましたが、これは誤報。実際には、アヌティン副首相は、「日本人のグループ、10人のうち8人」と言っているのみであり、「日本大使館職員」とは言っていませんでした。
Thai PBS Worldは記事を掲載した翌日には、実際にクラブを訪問した日本大使館職員は梨田大使一人のみであると確認がとれたため記事を訂正しました。しかしその誤報は一人歩きを続け、訪問した梨田大使はともかく、他の日本大使館職員達はこの報道により日々辛酸を嘗める思いだといいます。実際、日本大使館職員とタイ政府個別カウンターパートとのやりとりにおいて、クリスタルクラブへの同席を疑われて会議への出席を拒否される、向こう2週間の面会を拒否される等、業務上の実害が発生しています。
また、同時期に発表されたサックサヤム運輸大臣の新型コロナ感染報道との混同により、サックサヤム運輸大臣と梨田大使が一緒にクリスタルクラブを訪問していたのではないか、そうすると梨田大使以下インフラ担当者もその場に同席していたはずだと疑われる等の風評被害が発生しているとのことです。
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いずれも誤報による風評被害の深刻さが実感できるケースであり、正確な報道を行うべき報道機関の責任が問われるケースとなっています。本サイトも、間違った情報を掲載したことを、深く反省している次第です。
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