|
|
農林水産省主催の外国人による日本料理コンテスト「和食ワールドチャレンジ2016」決勝戦が、2016年12月15日に東京都内で開催され、タイ・バンコクの日本料理店「大阪料理 菜の花」の料理人、ソンクラーン・コムニューさん(35歳)が、『「蓮根菊花まんじゅう」磯辺あんかけ』で銅賞に輝きました。なお、金賞はマレーシアのチョン・チェン・ロンさん(31歳)、銀賞はオーストラリアのショーン・プレスランドさん(45歳)。
—————–
「和食ワールドチャレンジ」には、26カ国・地域(アメリカ、イギリス、イタリア、イラン、インド、インドネシア、オーストラリア、韓国、シンガポール、スコットランド、スリランカ、タイ、台湾、中国、ネパール、パキスタン、ハンガリー、フィリピン、フィンランド、フランス、ブラジル、ベトナム、ベルギー、マレーシア、メキシコ、ルーマニア)から、205作品の応募がありました。応募締切後、書類審査を勝ち抜いた上位20位(23作品)について、応募レシピに基づき、東京で再現、和食技術の踏襲、味・見た目、オリジナリティー、当事国での再現性の観点から、10作品を選出しています。
決勝大会のテーマは、日本料理の基本と言える「一汁一菜」。選手は、応募作品のほか、課題料理となっていた土鍋ごはんとアジのつみれの味噌汁を調理しました。課題料理については、味のほか、調理中の包丁さばきや出汁のとり方、手際などを審査しています。
和食ワールドチャレンジ2016
http://washoku-worldchallenge.jp/2016/
https://www.facebook.com/WashokuWorldChallenge/
トンロー通り・Jアベニューの「大阪料理 菜の花」
ソンクラーン・コムニューさん(タイ)
タイ東北部イサーン地方出身のソンクラーン・コムニューさん。親戚を頼ってバンコクの寿司店に勤めることになったのが、和食との出会いだった。その店で3年勤めた後、寿司以外の和食の世界も知りたいと、つてをたどって1998年オープンのバンコクでは老舗の和食店「大阪料理 菜の花」に働き口を得た。約11 年前のことだ。
季節の食材が豊富で、四季を料理で表現したり、季節折々の行事の料理があったりすること。また、盛り付けが美しく健康的な料理であることが、コムニューさんが日本の料理に惹かれた理由だ。細心の注意を払った丁寧な仕事が必要とされることにも、心を打たれた。
「菜の花」で働き始めた時は、カウンターで寿司やお造りのみを担当していたが、今は調理場で煮炊き物なども手がけるようになった。「タイの人はのんびりとした国民性のためか、一般的に段取りが不得意。でもコムニューさんは、冷蔵庫の中を見たら、ひと目で今日は、どんな仕込みをしなければいけないのかなどが分かる」と、 同店の主人である井崎弘さんは彼を評価する。タイ人の若手料理人にも指導ができる、井崎さんにとって貴重な人材だ。
井崎さんは常々、タイ人の料理人に「料理は自分の作品だと思って作れ」と伝えているという。「自分の作品」 だと思ったら、いい加減な仕事はできない。もっとおいしく、もっときれいに見せたいと、料理人の思いが変わ ってくると考えているからだ。そうした教えを叩き込まれてきたコムニューさんは、「料理、器ともに美しい和食 は、料理人の思いをお客様に伝えやすい」とこれを作る喜びを語る。
「和食ワールドチャレンジ 2016」出品料理は、「『蓮根菊花まんじゅう』磯辺あんかけ」。レンコンと山芋を合 わせて作った、もっちりとした食感のレンコンまんじゅうにサラミを仕込み、菊の花びらをまぶして揚げた一品。 吉野葛でとろみを付けた海苔を使ったあんの上にレンコンまんじゅうを載せ提供、黄色と黒い海苔あんの色のコントラストが美しい料理に仕上げた。井崎さんからアドバイスを受けながら完成させたこのメニュー。現在、「菜 の花」でも提供をはじめ、日本人客にも評判だという。
実は「菜の花」には第2 回和食ワールドチャレンジで優勝したジャラン・ディファクさんがいる。今回が初来日となるコムニューさんは、決勝進出が決まった翌日、大喜びでパスポートの申請に行ったという。「いつの日か独立して、タイに自分の日本料理店を開きたい」とコムニューさんは夢を語る。
関連記事
新着記事