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第28回 ヒット曲はインディーズから生まれる。今、そしてこれからのルークトゥンモーラム注目歌手たち。

2016年11月13日 配信

第28回 ヒット曲はインディーズから生まれる。今、そしてこれからのルークトゥンモーラム注目歌手たち。

どこの国でもそうですが、音楽のメインストリームはだいたい大手レコード会社が担っています。

しかし、近年はインターネットの影響でCDなどのパッケージ商品の売り上げが激減。主力がダウンロードによる配信に変わってきていた事で、そのパワーバランスも崩れつつあります。

タイも例に漏れず、パッケージ商品の売り上げはほとんど立ち行かないような状況です。大手のRSはプレス工場を閉めてしまいましたし、歌手たちも曲のリリース形態を配信をメインに変えてきています。

そうなると、資本の大小に関係なく良い曲であれば売れるという、ちょっとしたキッカケで大ヒットする、そんな時代になってきました。

それを象徴していたのが、このコラムでもお伝えした昨年(2015年)のゴン・フアイライのヒットでしょう(参照 第21回ゴーン・フアイライ:タイ人の心を捉えたひとつの歌)。

たった3人の歌手しかいないプロダクションに所属している彼の曲「サイ・ワー・シ・ボ・ティム・ガン(ไสว่าสิบ่ถิ่มกัน)」は、YouTubeで公開1年目で1億回の再生回数を記録する大ヒットとなりました。

◆YouTube再生1億回記念パーティーでのゴン・フアイライ(2016年6月30日)
◆YouTube再生1億回記念パーティーでのゴン・フアイライ(2016年6月30日)

ルークトゥンモーラムのヒット曲には以前からもインディーズの曲がありましたが、最近はその傾向がより強くなってきたように思います。

そんな現状のルークトゥンモーラムの中で今、注目されている歌手とこれからの活躍が期待される歌手をインディーズを中心に紹介したいと思います。

まずはやはり、その時代が変わるキッカケを作ったゴン・フアイライを外す訳にはいきません。

「サイ・ワー・・・」が特大ヒットとなってしまった為、2曲目を作るときは相当プレッシャーがあった事は想像できます。すぐに2匹目のドジョウを狙いたがるタイの音楽業界において、あえて1年以上新曲をリリースせずにいました。

しかし、満を持して2016年9月に発表した新曲「クー・コーン(คู่คอง)」がまたもや世間の大きな注目を集めています。

テレビドラマの主題歌として作られたこの曲は、YouTubeでの再生回数が公開されてから約2ヶ月で1億回に到達しそうな勢いで延びています。この勢いは前曲のスピードを遥かに上回っています。

ヒット曲が出ると、それを乗り越えられない歌手がほとんどですが、軽々と乗り越えてしまったゴン・フアイライ。この曲で彼が一時的なヒット歌手でなく、本物のアーティストだったという事が証明されたような気がします。

◆ก้อง ห้วยไร่(ゴン・フアイライ)/คู่คอง(クー・コーン)

また、MVの公開をキッカケに一気に広まった曲があります。それがグン・スパーポンの「シ・ヒ・ノーン・ボ(สิฮิน้องบ่)」です。

◆กุ้ง สุภาพร สายรักษ์(グン・スパーポン・サーイラック)
◆กุ้ง สุภาพร สายรักษ์(グン・スパーポン・サーイラック)

グン・スパーポンはイサーンを中心に活動する、ベテランのラムシン歌手です。

イサーンの言葉で歌われているこの曲は、人気の中心はイサーンですが、文化的には共通する部分が多いラオスでも受けています。

一度聴いたら耳に残るキャッチーなサビとエロティックなMV(歌詞も結構エロティックな要素を含んでいます)は、言葉の分からない外国人でも充分楽しむ事が出来ます。

◆กุ้ง สุภาพร(グン・スパーポン)/สิฮิน้องบ่(シ・ヒ・ノーン・ボ)

また、去年のゴンのように、ほとんど無名の存在だったのに、インターネットをキッカケに一気に注目を集めはじめた1人の女の子がいます。彼女の名前はアーム・チュティマー(อาม ชุติมา)。

◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)
◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)

アームはブンカーン出身のまだ17歳の女の子。今、人気急上昇中の曲「アディート・クーイ・パン(อดีตเคยพัง)」は彼女が16歳の時に発表した初めての曲です。しかも、作詞・作曲はアーム本人の手によるものです。

この曲のオリジナル・ヴァージョンはインディーズの曲にも関わらず、公開約5ヶ月目の2016年11月現在2700万回以上の再生回数を記録しています。

さらに彼女はこのヒットをキッカケに、大手プロダクション「チャオプラヤー・レコード」と契約する事になりました。まさに時代を象徴する、そして将来が楽しみな歌手の1人です。

◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)/อดีตเคยพัง(アディート・クーイ・パン)※Re-Recording Version

※オリジナル・ヴァージョンはこちら⇓
https://www.youtube.com/watch?v=OibiLZgfSF8

アームと同じ世代で、やはりネットをキッカケに人気を集めているのが、ネスカフェ・サベーンビンという女性歌手です。彼女はウボンラーチャターニー出身で現在18歳。

◆แนสกาแฟ สะแบงบิน(ネスカフェ・サベーンビン)
◆แนสกาแฟ สะแบงบิน(ネスカフェ・サベーンビン)

彼女も自分で曲を作る人で、現在人気急上昇中の曲も彼女自身によって作詞・作曲されたものです。

さらにネスの場合はSNSでの人気がハンパではありません。

Likeの数は少ない時でも1万前後、多ければ3万以上の時があります。大手の知名度のある歌手ならまだしも、イサーンの田舎に住む一インディーズの歌手としては、異例の数字です。

そして曲の再生回数も2016年11月の時点で、まもなく1700万回に到達しようとしています。ライブでも絶大な人気を誇っています。

◆แนสกาแฟ สะแบงบิน(ネスカフェ・サベーンビン)/ฮักส่ำได๋อ้ายกะถิ่ม(ハック・サム・ダイ・アーイ・ガ・ティム)

イサーンの女の子でもう1人注目したい人がいます。名前はメー・ヂラーポン(เมย์ จิราพร)。

彼女が歌う「プー・サオ・ガオ(ผู้สาวเก่า)」という曲のオーディオ・ヴァージョンは、既に2300万回の再生回数を記録していて(2016年11月現在)、今、世間からも注目されている歌手の内の1人です。

アームやネスのように、まだバンコクへ来る機会は少ないですが、このヒットを機に中央にも来る回数が増えてくる事が予想されます。

◆เมย์ จิราพร(メー・ヂラーポン)/ผู้สาวเก่า(プー・サオ・ガオ)

立て続けに女性歌手ばかり取り上げてしまいましたが、最後に男性の注目歌手を紹介しておきます。

名前はビックバイ・サーイラム(บิ๊กไบค์ สายลำ)は、ウドンタニー出身の25歳。自らプロダクションを立ち上げ、がんばっている歌手です。

◆บิ๊กไบค์ สายลำ(ビックバイ・サーイラム)
◆บิ๊กไบค์ สายลำ(ビックバイ・サーイラム)

彼の曲「ガ・ハック・クー・ガオ(กะฮักคือเก่า)」もインディーズに関わらず2200万回の再生回数を超えていて、特に女性人気が凄いです。

それだけでなく、高い歌唱力も持ち合わせていて、同性をも唸らせる実力のある歌手です。

近々、大手レコード会社のコンピレーションにもこの曲が収録される事になったようで、これもまた一つの快挙と言えるでしょう。

◆บิ๊กไบค์ สายลำ(ビックバイ・サーイラム)/กะฮักคือเก่า(ガ・ハック・クー・ガオ)

今後、こういった大手に頼らず、ネットを使って自らプロモートしていく方法はさらに拡大していくものと思われます。

そして、インターネットから生まれる新しい形でのヒット曲というのが、ますます増えてくるのではないでしょうか。

kapiraja
タイ音楽好きが高じて、現在現地調査中。ブログでも情報を発信しております。
「ルークトゥンモーラム・ファンクラブ」 http://luktungmolamfanclub.blogspot.com/
ゆくゆくは日本でのタイ音楽知名度がもっと上がれば良いと思っています。そして、タイと日本のミュージシャンとの交流がもっと盛んになってくれることを期待しています。
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