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第156回 タイで活躍した選手とあまり活躍出来なかった“いとたく”との左足への意識の差

2013年10月26日 配信

2013年10月26日 掲載

「夢追人」のタイサッカー珍道中

 元選手冥利に尽きるのであるが、現役のタイでプレーする選手が俺が指導するINFINITOの練習に遊びに来てくれる機会が多い。そこで練習後等に色々な話を選手達にしてくれて…やっぱりプロ選手からの言葉は選手達には強烈に胸に響くようである。それとともに指導者の立場からも選手目線の言葉は、気付きや再認識させられることが多く非常に勉強となるのである。そんな中である選手の言葉はサッカーへの意識の高さがずば抜けていて非常に印象に残ったので、ここに記そうと思う。

 これはOSOTSPAに所属する元チームメイトNo.21の片野寛理選手の言葉なのであるが、彼は左右の足で正確な長中距離のパスを操れる。選手達からの質問で「何故左足を正確に蹴れるのですか!?」との問いに驚くべき答えをサラッと言って述べたのである。「小学校6年生の時に、中学からは4号ボールから5号ボールへ…試合球が大きくなるのだけれど、その時に左足の必要性を感じて自ら練習を始めた」のだと言う。小学生時代にこの意識の高さである、もぅ脱帽であったね。

 ちなみに“いとたくコーチ”は…まぁ選手達へのゴールキーパー練習で左足のキックは必要だし蹴れることは蹴れるけど、精度はというとイマ3かイマ4にレベルだね。もうぶっちゃけてしまおう、少年時代俺は殆ど左足で蹴ることをしていなかった。インサイドキックも避けていた位である。理由は簡単である、狙ったところに強く蹴れなかったから…ちなみに左足と左手が同方向にスイングしていることに気付いたのは後輩に指摘されて、大学3年時の20歳を過ぎてからである。

 本格的に練習を始めたのが31歳を過ぎてから、岡山に移籍してプロ選手になってからである。カタヤン(片野選手)は8歳下だから、彼が左足を練習し始めたのが12歳として…左足の蹴り方のフォームが誤っていると俺が気付いたのはその1年後ということか。そして練習をやっと始めたのが10年後だから左足使用歴は11歳後輩ということか…まぁショックだね。

 昔は冗談で「リフティングが下手でも、左足が蹴れなくてもプロになれる!!」なんて言っていたんだけど…今は「いくら練習で失敗しても良いからトライしなさい。」とカタヤンの言葉を引き合いに出して重要性を伝えている。今更だけど俺…左足の練習しとけば良かった、30年前にね。


伊藤琢矢(いとたく)

アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand

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