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ルークトゥン・モーラムの裾野は広い。
日々、沢山の新人がこの世界を夢見て入ってきますが、その中からスポットライトが当たるのはほんの一握りです。
若い・可愛い・カッコイイだけでは注目されず、実力があるのは当たり前。さらにいい曲やプロデューサーに恵まれるなどの、運も必要となってきます。
そんな数多いる若手歌手の中で、今、頭一つ抜きん出ようとしている歌手がいます。
その人がモッデーン・ヂラーポン(มดแดง จิราพร)。ウドンタニー出身の26歳(2015年5月現在)です。
◆ノンタブリー、The Squareにて(2014年8月3日)
彼女は歌手になってまだ5年余りと、まだまだ若手の部類に入る人ですが、その実力は折り紙つき。同郷の大先輩マイク・ピロムポンに見出され、2014年には音楽賞としては権威のあるコムチャットルック・アワードの新人賞を受賞するなど、短いキャリアながらも確かな実績を残してきています。
さらに彼女の曲「サーオ・カーイ・ウィー(สาวขายหวี)」と「ユー・ガップ・ノーン・シディー・クー・カオ・ボ(อยู่กับน้องสิดีคือเขาบ่)」が現在タイで大人気。何かのコンサートに行けば、この2曲はほぼ100%に近い確立で耳にします。
◆มดแดง จิราพร(モッデーン・ヂラーポン)/(サーオ・カーイ・ウィー)
◆มดแดง จิราพร(モッデーン・ヂラーポン)/อยู่กับน้องสิดีคือเขาบ่(ユー・ガップ・ノーン・シディー・クー・カオ・ボ)
モッデーン・ヂラーポンは2014年まで独立系のプロダクションで地道に活動していましたが、2015年に入ってタイのレコード会社の中では大手のトップライン・ダイアモンドに加入。その勢いが増しつつあります。
そんなモッデーンのライブをここ最近、立て続けに観る機会がありました。
◆ルンヂャルーン3市場にて(2015年4月3日)
実はモッデーンのライブを観るのはこれが初めてではなく、1年前にタイに来た頃から何度か観ているのですが、そのほとんどが沢山歌手が出るイベントで数曲歌うだけでしたので、彼女の魅力が充分分かったというところまではいきませんでした。
しかし、今回観る事ができたライブはいずれも彼女がメインのライブ。バンドを引き連れての1時間弱のステージで充分すぎるほどモッデーンの魅力を感じることが出来ました。
歌が上手いというのは先に挙げたその実績でも実証済みですが、それだけでは観客が楽しめるステージを作り上げる事が出来るわけではありません。
そこには曲間をつなげる話力も必要となってくるのですが、ユーモアを交えたり観客を上手くいじったりと、そういった点でもモッデーンは他の若手歌手と比べても、トップ歌手になれる実力を充分兼ね備えています。
◆ティアンタレー・ソーイ5前市場にて(2015年5月16日)
さらにいくつかのライブを観て感じたのは、彼女には調子が良い悪いといった波がないという事でした。つまりどのステージでも一定の、しかもクオリティーの高いステージをすることができるという事です。
歌手もやはり人間ですので、その時の体調などで出来不出来が出てしまうというのは、どんなベテランでもあることですが、モッデーンの場合はそういう事が極めて少ないような気がします。
それはそれだけ基礎的な訓練がしっかりされているという証でもあります。
◆ラマ9世通り、ムアン・イサーンにて(2015年5月16日)
また、モッデーンの魅力が分かるのはライブだけではありません。彼女は師匠マイク・ピロムポン・プロデュースによるアルバムと、そのアルバムを元に再編集されトップラインから発売し直されたアルバムがありますが、そのアルバムを聴いてもモッデーンがいかに実力のある歌手なのかが痛いほどわかります。
◆モッデーン・ヂラーポンのアルバム。左がオリジナル盤で、右が再発盤。
これらのアルバムには大ヒット中の先の2曲も収録されていますが、そのようなダンサブルな曲だけでなく、哀愁たっぷりのスロー曲、タイ国民へお互い理解しあおうと訴えかける厳かな曲から、ガールズ・ポップのような可愛らしい感じの曲や、色気タップリの曲まで、様々なヴァリエーションの曲が収められています。その各曲の曲調ごとにまるで別人のように歌い方に変化をつけていて、その表現力の幅広さは舌を巻きます。
作家やアレンジャーにはボーイ・ケームラート先生やサワット・サーラカーム先生などヒットメーカーを起用しての強力なバックアップ体制。そんな大物たちにまったく引けをとらない、モッデーンの実力が十二分に発揮された作品となっています。
歌手によってはライブは良いけどCDはイマイチだったり、その逆があったりということもありますが、どちらも実力が発揮できてこそ真の歌手といえます。
◆モッデーン・ヂラーポンからのメッセージ
モッデーン・ヂラーポンの知名度はタイでも日本でもまだまだこれからかも知れませんが、既にカリスマ性も兼ね備えている彼女。
将来には必ず多くの人々を惹きつける存在になる。そう感じてなりません。
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