9月某日、ワシ(ジジイ梅隊長)と若者N隊員で構成される『神奈川県民部隊ヤンゴン支部』はスーレー・パゴダ近くのバスロータリーにいた。
「隊長、神奈中バスですよ!ああ、懐かしい」
ワシたちは眩しそうに目を細めながら、その黄色の車体を見た。神奈川県民の足、神奈川中央交通バス。略して神奈中バスだ。
日本からの中古車が多いミャンマーだが、こんな所で地元のバスに出会えるとは。感無量である。
「さあ、乗り込みましょう・・・って、入れない!」
Nの視線の先を見ると、鉄の柵が!
戸惑うワシらを見た運転手さんが、「あっち、あっち」と右側を指差している。
バスをぐるりと回ると、車体の右側にもう一つの乗降口が。
ん?
「あ、この国の道路、右側通行ですよ!アメリカ式ですよ!」
なるほど、だから乗降口を無理やり右側に作っちゃったのね。
よっこらしょ、と中に入ると・・・通路が狭い。乗客をなるべく多く座らせるためか、座席部分に板を渡してスペースを増ししているのだ。板なので当然座り心地は良くない。
車掌のお兄ちゃんが来た。
いくら?
お兄ちゃんは指を2本出した。
え~、と2000チャットじゃないよな、じゃあ200チャット?1人100チャット(約10円)?激安!これじゃ、座席が痛いとか文句は言えんなあ。
「隊長、いろんな所に日本語が書いてありますよ!」
見渡すと、「出口」とか「禁煙」、「この扉は→の方向に開きます」など日本語の表示が沢山残っている。
「お釈迦さまの写真!アウンサンスーチーさんも!」
見慣れた車内なのだが、ちょっと違う・・・何か不思議な気分・・・。
「ジャパニーズ?」
隣のミャンマー人のオジサンが話しかけてきた。
「いえ~す!」
「アイ・ラブ・ジャパン」
「お~、あい・らぶ・みゃんまー!」
ワシらはオジサンと、日本の車はNO1とか色々話し始めた。束の間の暖かい日本・ミャンマーの交流。
で、気づくと、ちょっと郊外に出ていた。
一体、ワシらは今どこにいるんじゃろう!
あの~、アウンサン・スタジアムに行きたいんじゃが・・・?
オジサンに聞いてみた。
「エ~、モウ通リスギテイルヨ!」
あら、いや~ん!
結局、次のバス停でワシらは降りて、またダウンタウン行きのバスを待った。
炎天下の中。
「隊長、自信満々で『旅慣れた俺に、任せておけ!』って言ったじゃないですか~」
Nが冷たく言い放った。
「いや、ほら、それはね、ちょっと油断しちゃったからね。バスに酔って調子悪かったのかなあ?」
「今度はちゃんと目的地で降りましょうね、“梅ちゃん”」
隊長から、梅ちゃんに格下げになってしまったワシ・・・はあ。
(2012年9月26日掲載)
この記事は「ミャンマー旅行ホテル情報~ありがとう、ミャンマー!ブログ」より転載しております。
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ジジイ梅ことフリーライターの梅本昌男が、ミャンマーで見聞した面白いことをブログで書いています!
梅本昌男
1963年生まれ。1993年にワーキング・ホリデイ制度を利用してカナダへ。現地の邦字新聞の記者、ベルリッツの日本語教師を 経て、フリー・ライターへ。カナダでの8年の後、2001年より
タイのバンコクへ移動し東南アジア各地を回る。2006年秋より1年ほどエジプトのカイロを拠点にアラブ諸国をぶらり。現在、再びバンコクに滞在中。
記事を掲載して頂いた雑誌…「SKYWARD、AGORA(JAL機内 誌)」「MAGAZINE協賛の子供向け雑誌)」「ジュニア・アエラ」「VIA(エアポ ートリムジン車内誌)」「ポパイ」「ロングステイ(ロングステイ財団会誌)」「日経KIDS+」「日経トレンディ」「日経WOMAN」「等々。
共著の単行本…「アジアのツボ:東南アジア編(スリーエーネットワーク)」「極楽タイの暮らし方(山と渓谷社)」
記事を掲載して頂いた単行本…「地球の歩き方;エジプト2008-2009」「旅の大ピンチ(山海堂)」「地球の暮らし方:カナダ編」「地球の暮らし方:ロングステイ」「JTB海外ロングステイ30都市徹底ガイド」
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