日本とタイは兄弟みたいなものです。だからコーさんと日本のファンも兄弟です
5月16日、17日の2日間に渡り開催されたタイフェスティバル2015。35万人以上の来場者を記録し、いかに多くの人がタイを好きなのかを実感させてくれるとともに、タイと日本の友好的な関係を再認識させてくれました。メインステージで行われたタイの伝統芸能、有名芸能人によるパフォーマンスは日・タイ両方のファンで大盛り上がり。ステージ前方の席を早目から抑えていた熱心なファンの方も目立ちました。毎年このステージのラストは、招致されているゲストの中でも日タイともに人気のある大物タイ人アーティストが飾ることが多く、いやが上にも期待が高まります。
2015年のステージの大トリは・・・タイのジャズシーンをけん引するコー・ミスターサックスマンです。タイはもとより世界中で公演をするなど、ワールドワイドな活躍をしている彼。今回はサックスとタイに古くから伝わる民俗楽器、そして、ジャズとタイの伝統音楽とのコラボレーションで魅せる「サウンド・オブ・サイアム」としての参加です。代々木公園に心地よくやわらかなサックスの音色と、タイ伝統楽器のエキゾチックな調べ…、まさにタイフェスティバルを締めくくりにふさわしいパフォーマンスでした。
タイランドハイパーリンクス、タイフェスティバル2015、締めくくりのインタビューもコー・ミスターサックスマン!30回以上来日しているというコーさんは、大御所の貫録を持ちつつも、とてもキュートで温かい人柄が魅力的な方でした。
--コーさんは今日、明日のタイフェスティバルのあと、バンコク・アヌサワリーの「サキソフォンパブ(Saxophone Pub)」でライブの予定になっていましたけど、凄いですね。
コー えっ?タイで?僕は来週オウベイ(日本語)に行くはずだけど?
--お店のホームページに5月18日(月)「コー・ミスターサックスマン」と書いてありました。
コー えーーー(爆笑)?
--ものすごいハードスケジュールだなって思っていたんですけど誤表記ですかね(笑)?まあタイではよくある話ですよね(笑)。
コー はーい(日本語)!
--一応、月曜日のラストがコーさんのライブだと聞いて、以前2度ほど行ってみたんですが、全然知らない人が出てきたっていう・・・(笑)。
コー おー!アリガトー!ゴメンネー!(日本語)。海外公演がぶつかると、サキソフォンパブでの出演はなくなるんだよ。
--今日まさかの日本で見られて良かったです(笑)。
コー あははは。ヨカッタネ!ヨカッター(日本語笑)!
--(笑)・・・。もう日本にはライブも含めて何度もいらしているんですよね。
コー 数えきれないくらい来日しています。日本が大好きなんです。日本の人も、文化も、音楽も全てが好きですよ。
--覚えている限りでいいんですが何回くらい来ていますか?
コー 初めて来たのが1992年で、今数えてみるけど・・・えーっと、30回くらいかなー?
--すごい・・・。ライブも何度か開催していると思うんですが、日本のファンとタイのファンってのりが違うんですか?
コー 全然違います。タイのファンは、僕のことを知っていてくれるから、彼らの前ではリラックスして演奏できるけど、日本のファンはずっと待っていてくれるんです。そのせいかパワーも凄いですよ。僕自身も100パーセント以上の力を込めて演奏します。
--コーさんはタイでジャズをポピュラーにした存在だと思っているんですが。
コー もともとタイは王様がジャズを作曲したり、演奏したりしていました。だから僕の役割はほんの一部です。でも親しみやすい存在にしたことには、確かに携わっていると思います。まあ、ジャズという音楽自体、そもそも素晴らしい音楽ですからね。
--オリジナルのアメリカのジャズと、タイのジャズって何か違いますか?その国独自の音になっていくのでしょうか?
コー そうですね。不思議とその国独特のジャズになるんですよね。特にタイのジャズは王様が作曲した曲を演奏することが多いんです。
--あ!そうですよね。王様、CDも出していますし。
コー あとは、タイの伝統的な音楽をミックスさせることも多いです。
--まさに今回のステージで見せてくれた「サウンド・オブ・サイアム」は、タイに古くから伝わる楽器とのコラボレーションだったわけですが、このユニットはいつからスタートしたんですか?
コー まだ1年しかたっていないんです。みんないつもはそれぞれ別のバンドで活動しているんですよ。目的はタイの音楽文化を世界に広める事。
コー・ミスターサックスマン率いる「サウンド・オブ・サイアム」
--メンバーはコーさんが選んだんですか?
コー ハイ!
--はやっ!!・・・いま日本語わかりましたよね?
コー ワカリマシタヨ~(笑)!
--実は全部わかっているんじゃないですか(笑)?
コー ふふふ・・・。
--メンバーを自分で見つけるっていう事は、タイで活動しているミュージシャンの情報は、常にチェックしているってことですよね。
コー はい。どんなジャンルのユニットの時でも、この人は実力があるな、っていう人を選んでいます。今回のユニットに関してはプラス「タイの音楽を愛していて世界に広めたい」という精神を持っている人にオファーしました。
--サックスと民族楽器、そしてジャズと民族音楽のコラボレーションユニットをやりたい、ということは、いつから考えていたことなんですか?
コー 20年前にもまた別の形で演奏していたんですよ。その後は一般的なジャズを演奏してきたんですが、やっぱりタイのジャズを知ってほしいから、伝統音楽を融合させるスタイルに戻ってきたんです。
--今まで色々な方とコラボレーションしてきたと思うんですが、これだけ大人数だとソロの時とは色々と違う部分もあるんじゃないですか?
コー 確かに違いますね。でも音楽を愛する心は一つです。心で通じ合うことができるので可能性は無限です。
--コーさんがサックスを手にしたのはいくつぐらいの時なんですか?
コー 15歳の時からサックスをはじめました。
--既にジャズを志していたんですか?
コー コーさんは(日本語)、小さい頃から王様の作曲するジャズが好きだったんですよ。それから、日本の渡辺貞夫さんのCDを聴いて感動してジャズを志しました。
--渡辺貞夫さんとは会えましたか?
コー 2回会えました!もう、「おー・・・」って感じで、感動しました。サックスのパパです。
--うれしかったでしょうねー。コーさんはこれからどんな活動をしていきたいですか?
コー サンド・オブ・サイアムと自分の活動を通して、これからも世界中にタイの音楽を伝えていきたいです。先進国ばかりに行かなくてもいいんです。小さな国や、まだ発展途中の国、それとタイ国外だけではなく国内の田舎の県へ、もっと公演に行きたいし、病院を訪ねて、患者さんのために演奏したりしていきたいです。
--患者さん、喜びますね。
コー コーさん(日本語)は、埼玉の老人ホームにも演奏に行きました。音楽を聴いて、元気な顔を見せてくれるおじいさんやおばあさんを見て、コーさんは、とってもハッピーマーク!でした。
--今日はコーさんのファンがたくさんいらしていましたけど、日本のファンに皆さんにメッセージをいただけますか?
コー 日本とタイは兄弟みたいなものです。だからコーさんと日本のファンも兄弟です。初めて日本に来た時から、日本とはいい関係が築けると感じていました。日本のファンはとても応援してくれます。タイに来た時にお菓子を買ってきてくれたり・・・今日もおいしそうなお菓子をいただきましたよ(笑)。
--(笑)・・・。
コー タイで日本人のファンにサインをすることも多いけど、日本のファンはとってもかわいいなあと思います。いつも感謝していますよ。
[インタビュアー 吉田彩緒莉]
第16回タイ・フェスティバル2015
[日時]
2015年5月16日(土)17日(日)
[会場]
東京・代々木公園
[ウェブ]
http://www.thaifestival.jp/jp